岩手県スポーツ指導者講習会レポート
選手の自己管理能力の向上について
岩手県立北上翔南高等学校 本正 園子
1 はじめに
選手の競技力向上には、スポーツ障害の予防ができるかどうかが大きく影響している。この度岩手県競技スポーツ指導者講習会を受講する中で、障害の予防が競技力の向上に結びつくことが再確認できた。
特にも、高校生競技者を指導する場合、自分で考え、自分でコントロールする能力を高めることが重要であると感じ、選手の自己管理能力を向上させるための指導について考えてみたい。
2 自己管理のできる選手とは
(1) 自分の体調をベストに近づけるためにどのようなトレーニングやコンディショニングが必要か考えることができる。
(2) 自分自身の弱点を理解している。
3 自己管理の課題発見のために
(1) 体力測定を行う
(2) コンディションチェックシートを作成する
(3) メディカルチェック(トレーナーや医師との連携)
4 自己管理のチェックポイントについての指導の徹底と実践
(1) 筋力 →筋力トレーニングのデーターの管理
(2) 柔軟性 →柔軟性のチェックを定期的に行う。入浴後のストレッチの指導
(3) 体脂肪率 →毎日の体重・体脂肪の測定
・太っている人は怪我をしやすい。
・身体の切れを出すためには余計な脂肪を落とす。
(4) 入浴方法の指導 →効果的な入浴方法をプリントにて配布する。
(5) アイシング →アイシングの方法についてミーティングとプリントによる指導
(6) シューズ →シューズ購入については個別に足の特徴を見て指導
(7) 関節不安定性 →メディカルチェックで個別に自分の特徴を教え、弱点強化法を指導する。
(8) クーリングダウンでの自分の筋肉疲労のチェック
(9) 練習開始前に垂直跳び・心拍数の測定を行っている。それを自分でチェックし自己を知る。自己を知ることで集中力を高めることができる。
5 生活の質を高める指導
競技者として生活の質を高めることが重要である。自分でタイムマネジメントができ、競技に必要なことに取り組む意識を高めていきたい。指導者には、みえない家庭生活を自分で管理できるかが重要である。
・特に重点的に指導するポイント
a) 睡眠時間の確保 (疲労回復と筋力アップのため)
b) 栄養指導 (特に朝食摂取の指導)
c) 家でのトレーニングの時間の確保(短い時間でも自分に必要なことを考え継続して行うことが、筋力アップだけではなく、心を強くすることにも結びつく)
6 障害予防の為の指導の工夫
スポーツ障害を予防するには、メディカルチェツクなどで、自分のウィークポイントを知り、自分に合ったケアを練習後や自宅で行うことを継続させていく。
a) ストレッチング 疲労の除去と障害予防
b) アイシング 疲労の除去
c) チューブによる細かな部位のトレーニング
日常の練習では、いかに集中した状態で練習を行うか、チームのムードづくりに重点を置いて指導していく。いかにして選手のモチベーションが上がった状態を作り出すかが指導者の重要な役割である。
7 練習の中での工夫
陸上競技では、数値による練習データーを客観的に評価することができる競技特性がある。数値に対して自己の向上を知ること、疲労度を知ることがモチベーションを高めるために必要である。その、数値を客観的に見る力が自己管理能力の高い選手を生み出すと確信する。
8 練習日誌の工夫
自己管理能力を高める為には、毎日の練習日誌に記録を残すことが重要である。練習内容を記入するのはもちろんのこと、体重・脈拍数・各種の練習のデータ・睡眠時間・栄養状況を記録に残すことが後からの振り返りや自己を知る意味でも大変重要な位置にある。練習日誌で自己管理をしているという意識をもっと高めたい。
9 まとめ
陸上競技は、個人競技の種目が大多数を占め、個人の考える力、モチベーション、生活での取り組みが記録となって表れる競技である。
競技場では、一人になって戦う場面・判断する場面が多く、自己をコントロールする能力の高い選手ほど自分を伸ばせる確率が高くなる。
自分自身の身体を大切にし、良く知り、その能力を高めようとできる選手は目標を達成することができる。
そんな、一人一人の能力(心・技・体・生活)を高める事が指導者の重要な役割になってくる。
今回、講習に参加することで基本の再確認ができただけでなく、自分自身の指導の方向性を確認することもできたことが大きな収穫である。
このレポートでは詳しく触れなかったが、トレーニング法や筋力アップの方法なども指導スキルの向上に大いに役立つことであった。
全3回の講習に参加させていただきありがとうございます。これからも競技力向上のために学んだことを生かして努力していきます。